月曜日, 3月 06, 2006

酒呑みの悲しき性

言うまでもないが,俺は酒が好きである(本当に言うまでもないことで大変申し訳ない).

ここ英国では,もっぱら階級により飲まれる酒が異 なる.即ち,労働者階級では,ビール.いわゆる「パブ」のそれである.中産階級では,ビールも飲まれる が,ちょっとお上品にワインというところも多い.上流階級は,付き合いがないので知らない(笑).おそらくは,ワインやシェリーだとかブランデーだとか, 良いものを少し嗜まれるのであろうと推測される.
要するに,何を飲むかで,その人の属するクラスがはっきりするため,こちらの人が何を好んで飲む かということを話題にすることは少ない(と思う).尤も, 話す言葉(階級訛り)でもそれがわかる.つまり,どういう教育を受けてきたかが,はっきりとその人の言葉に表れるので,酒の趣向を聞かずともだいたいは察 することができ,階級外に居る我々外国人は,だいたいのあたりをつけて,ワインの話をしたり,或はビールの話をしたりする.これ,外国人の処世術なり (笑).

さて,そんな英国において,俺は相変わらず焼酎を呑む(笑).最近,ビールはすぐに腹が膨れるし,またすぐにトイレに行きたくな るため,あまり呑まない. それでも,ビールが嫌いというわけではない.念の為.あと,こちらのビール(ラガー)は味が薄く,日本のビールに慣れている身にとっては,ちと物足りない こともある.スタウト(要するにギネスなどのような黒ビール)は,パブで飲むに限るのだが,大学近くのパブならともかく,家の近くのパブはなかなか行き辛 い.はっきりいって,黄色いのが入っていって和気藹々と飲む,なんてわけにはいかないのである.家で敢えてビールを飲むなら,ラガーとスタウトの中間の エールが良い.ただ,買いに行くのも面倒だから,最近はさっぱり飲まないのである.ワインも時々飲むが,ボトルを開けたら飲み干さないわけにはいかないか ら,日常ほいほいと飲めるものでもない.そういういきさつと,日本恋しやの気持ちとから,焼酎を飲んでいるのである.当然のことながら,焼酎が日本にいる ときのように簡単に手に入るわけではない.非常に貴重なものなのであるからして,日本に居るときのように,かぽかぽと飲むわけにもいかない.だから,まだ 寒い昨今(先日は大雪だった...3月だというのに)は,お湯割りに限る.日本でなら,焼酎:お湯=6:4くらいで作るところを,焼酎:お湯=2:8程度 で作る.俺は焼酎では芋焼酎のクサイのが好きなので,例えば某Sという鹿児島の有名どころなどをお湯割りにすると,サツマイモのいい香りがするのである. それは2:8という馬鹿げた比率で作っても,である.当然薄いから数杯呑んだとて酔うには至らないが,香りが大変よく,少しのアルコールで精神的には 癒されるのである.一種のアロマテラピーか.

ここに思い出されるのが,故伊丹十三監督の『大病人』(だったかと思う.或は別の作品だった かもしれない)という映画のワンシーンである.末期の癌患者 が,実は大変な酒呑みで,医者に頼むから死ぬまでにもう一度だけ酒を飲ませてくれ,と頼むのだが,当然医者はOKを出せない.しかし,あまりにその患者が 気の毒だからと,湯飲みにお湯をたっぷり注ぎ,そこへブランデーを一,二滴垂らしたものを彼に与えたところ,これがまたなお気の毒なくらい,その湯気に薫 る酒の香りをかいで嬉しそうに微笑み,それを啜るのである.酒というものは酔ってナンボと思っていた,これを見た当時の俺は,いやあ,そんなこたぁあるわ けないだろう,と思ったものだが,いや実際に,酒に事欠くに至って,しみじみとこの患者の喜びがわかるのであった.

...ある意味で,俺も末期ですか(苦笑).
この記事をそもそも,その2:8割ならぬ,1:9割を呑みつつ書いて居るのは,もう焼酎がなくなってしまったからである.嗚呼,明日から寂しい夜になる.

2 Comments:

At 7/3/06 00:57, Anonymous 匿名 said...

夜泣きしてる姿が見てみたい。。。

 
At 8/3/06 02:01, Blogger アラキ said...

案の定,酒がなくて,眠れません.
呵呵.

 

コメントを投稿

<< Home